2026.10.28
学校営業で「他校の事例はありますか?」と聞かれたら?導入検討につながる事例紹介の作り方
「他の学校では、どのように使われていますか?」「同じような学校での導入事例はありますか?」。学校向けサービスの電話や商談で、このような質問を受けたことはありませんか。
導入事例は、学校側がサービスの利用場面や運用をイメージするための材料になります。ただし、学校名や成果だけを紹介しても、「自校で使う場合はどうなるのか」が分からなければ、具体的な検討には進みにくくなります。
大切なのは、相手が事例を通じて何を知りたいのかを確認し、その学校で利用する条件まで一緒に整理することです。
この記事では、学校向けサービスを提供する企業に向けて、導入検討につながる事例の選び方、伝え方、紹介後の進め方を解説します。
この記事は、こんな方におすすめです
- 学校との商談で、導入事例を求められることが多い方
- 事例資料を送っても、その後の検討につながらない方
- 電話で「具体的にどんな事例ですか?」と聞かれ、説明に悩む方
- 実績が少ない段階で、学校への提案方法を考えている方
1.学校が事例を知りたい理由を確認する
「他校の事例が知りたい」という言葉の背景には、さまざまな確認事項があります。
授業での使い方を知りたい場合もあれば、先生の準備負担や、校内で説明するための材料を求めている場合もあります。
事例を紹介する前に、どの点に関心があるかを伺いましょう。
| 学校側が知りたいこと | 紹介する情報の例 |
|---|---|
| 授業や活動での使い方 | 対象学年、利用した時間、実施手順、教材や機能の使い方 |
| 先生の負担 | 事前準備、当日の役割、問い合わせ対応、提供側の支援 |
| 生徒・学生の反応や変化 | 感想、利用状況、確認できた変化と、その確認方法 |
| 導入までの進め方 | 関係者への説明、試用、開始前に確認した事項 |
| 費用や必要な環境 | 利用範囲、料金の前提、端末・通信環境、運用体制 |
確認するときの言い方
「事例について、授業での使い方、先生方の運用負担、導入までの流れなど、特に確認されたい点はございますか。近い内容を中心にご紹介できればと思っております。」
相手の関心が分かれば、必要な事例を選び、説明する順番を変えられます。
事例を求められたことだけで、導入意向が高いとは判断しないようにしましょう。情報収集なのか、具体的な比較検討なのかも、会話のなかで確認します。
2.学校名だけでなく、条件の近い事例を選ぶ
著名な学校の導入実績は、サービスを知っていただくきっかけになります。一方で、相手が知りたいのは「自校でも活用できそうか」という点かもしれません。
学校名に加えて、次の条件が近いかを確認しましょう。
- 学校種:中学校、高校、大学など
- 対象:学年、クラス、人数、コースなど
- 目的:授業の充実、進路支援、相談対応、業務負担軽減など
- 利用場面:授業内、放課後、長期休暇、自宅学習など
- 運用体制:担当者、関係部署、外部の支援範囲
- 導入範囲:単発の体験、一部学年での試用、継続利用など
例えば、同じ高校での導入でも、希望者だけの放課後活動と、学年全体の授業では、準備や運用が異なります。
目的や利用場面が近い事例を選び、違う条件も伝えることで、学校側が検討しやすくなります。
事例を選ぶポイント
「同じ学校種だから」だけで選ばず、相手が確かめたいことに答えられる事例かを確認しましょう。条件が一致しない部分は、その違いを明確に伝えます。
3.導入前・実施内容・結果をセットで伝える
「多くの学校で使われています」「生徒から好評です」という説明だけでは、具体的な活用方法が伝わりません。
事例は、次の順序でまとめると理解しやすくなります。
- 導入前の状況:何を改善・充実させたいと考えていたか
- 実施内容:誰が、どの場面で、どのように利用したか
- 運用方法:学校側と提供側が、それぞれ何を担当したか
- 確認できた結果:利用状況、感想、変化など
- 残った課題:改善が必要な点や、今後確認すること
先生の負担を説明する場合も、「簡単に使えます」とまとめず、準備した作業、説明に必要な時間、実施中の役割などを、確認できた範囲で伝えます。
成果の数字には、前提を添える
アンケート結果や利用率などを紹介する場合は、対象人数、回答数、実施期間、質問内容など、数字の意味が分かる情報を添えましょう。
また、感想と、測定した変化は分けて説明します。「楽しかった」という回答が多かったことだけで、学力や意欲が向上したと判断することはできません。
確認できた事実と、その解釈を区別することが、学校側の判断を助けます。
学校名、担当者のコメント、写真、成果の数値などは、紹介してよい範囲を確認したうえで使用してください。匿名の事例でも、具体的な情報の組み合わせで学校が分かる場合があるため、掲載内容を確認します。
4.自校で使う場合の違いを整理する
他校で活用できたサービスでも、同じ方法がそのまま合うとは限りません。
事例を紹介した後は、相手の学校で使う場合に何が変わるかを確認します。
- 対象人数や学年が変わると、準備や費用はどうなるか
- 授業時間や年間計画のなかに、利用する場面があるか
- 必要な端末や通信環境などを用意できるか
- 窓口となる先生と、運用に関わる方は誰か
- 校内で、どのような確認や説明が必要か
- 導入準備や運用で、提供側の支援が必要な部分はどこか
事例紹介後の質問例
「今回の事例では、学年の担当の先生を窓口に進めました。貴校で実施するとしたら、関係する先生方や、事前に確認しておきたい点はございますか。」
同じ結果になると約束するのではなく、活用できそうな条件と、まだ確かめる必要がある条件を整理しましょう。
課題が見つかった場合は、対象を絞る、実施時期を調整する、支援内容を変えるなど、対応できる範囲で提案を検討します。
5.事例紹介から、次の検討事項につなげる
事例を紹介した後は、「参考になりました」という感想に加えて、何を確認でき、何が残ったかを整理します。
相手の検討段階によって、次の対応は変わります。
| 学校側の状況 | 次の対応例 |
|---|---|
| まずは情報を集めたい | 関心のある内容に絞って資料を送り、今後の連絡方針を確認する |
| 関係する先生にも共有したい | 校内共有用の資料や、関係者を交えた説明機会を相談する |
| 実際の使い方を確かめたい | デモや体験の目的、対象、準備することを整理する |
| 費用を含めて検討したい | 利用範囲を確認し、見積と運用条件を提示する |
| 現時点では利用場面がない | 理由を記録し、今後の案内が必要かを確認する |
無理に次回面談を設定する必要はありません。学校側が確認したいことに合わせて、双方の対応と時期を決めましょう。
商談後のメールも、資料の添付だけでなく、「今回関心を持たれた内容」「追加で確認する事項」「次の対応」を簡潔にまとめると、検討を引き継ぎやすくなります。
導入事例が少ない場合の提案方法
新しいサービスでは、学校での導入事例が少ない場合もあります。その際は、実績があるように見せず、現在提示できる材料を整理します。
- デモ:実際の画面や教材で、使い方を確認してもらう
- 運用案:授業や業務のなかで、どのように使うかを提案する
- 関連領域の実績:別の対象で確認できた内容と、学校で未確認の点を分けて説明する
- 試用・モデル校導入:対象や期間を定め、学校側と確認事項を共有して検証する
例えば、学校での利用実績がない場合に、民間企業での結果をそのまま学校での成果として示すことは避けましょう。共通して使える機能と、環境が変わることで検証が必要な点を説明します。
モデル校を募集する場合も、何を試し、学校側にどのような準備や協力をお願いするか、費用や終了後の条件はどうなるかを事前に共有します。
実績、想定する活用例、これから確かめる内容を分けることが重要です。
事例資料と営業トークの作り方
事例資料は、1枚でも流れが分かる構成にする
詳しい資料とは別に、事例の概要を共有しやすい資料を用意すると、電話後の送付や校内説明に使いやすくなります。
事例資料に入れたい項目
- 対象の学校種・学年・人数・実施時期
- 導入前の状況と、実施の目的
- 利用した場面と、具体的な実施内容
- 学校側と提供側の役割
- 確認できた結果と、その確認方法
- 運用上の課題や、利用に必要な条件
- 情報の確認日と、関連資料への案内
タイトルも「導入事例」だけでなく、利用場面が分かる表現にすると、相手が内容を判断しやすくなります。
例えば、「高校1年生の探究活動における振り返りの活用事例」「希望者向けの放課後オンライン学習の実施事例」など、実態に合った言葉で整理します。
電話では、事例の中身を短く伝える
「他校の事例をご紹介したいです」と伝えた際に、「具体的にどんな事例ですか?」と聞かれることがあります。
そのときは、学校種、利用場面、実施内容を短く説明し、確認したい内容を伺いましょう。
営業トークの組み立て方
「[学校種・対象]で、[導入前の状況や目的]に対して、[授業・活動などの場面]で[具体的な使い方]を行った事例です。[準備や運用など、紹介できる内容]もご説明できます。貴校では、どの点が参考になりそうでしょうか。」
この型に、実際に確認できた事例を入れて使います。架空の学校や成果を補わず、質問に対して具体的に説明できるよう準備してください。
長い説明を始める前に相手の関心を確認すると、必要な事例を選びやすくなります。
他校の事例を、その学校に合う提案へ
学校営業で事例を紹介するときは、導入校の名前や成果を伝えることに加えて、相手が知りたい内容に答えることが大切です。
何のために利用し、どのように運用し、何が確認できたのか。その条件と相手の学校の状況を比べながら、次に必要な情報や対応を整理しましょう。
事例紹介を、商品説明の一部として終わらせず、学校側が自校での活用を判断するための材料にしていくことが重要です。
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